「ように」と「ために」は、どちらも“目的”を表す表現ですが、使われる場面や動詞の種類がちがうため、学習者が特にまちがえやすいポイントです。この記事では、その違いをシンプルに整理して説明します。
この記事でわかること
・「ように」と「ために」の基本的な違い
・結果の目的/意図の目的の見分け方
・動詞の種類(意志/無意志)との関係
・よくあるまちがいと自然な使い方
・例文と練習問題での確認
はじめに
「ように」と「ために」は、どちらも目的を表す表現ですが、目的の種類が異なるため使い分けが必要です。まずはそれぞれの基本的な意味を確認し、そのあとで例文・使い分け・練習問題の順に整理していきます。
関連:
→【N3】N3文法まとめ(総合)|全体像・分類・学習ロードマップ
→【文型の違い・使い分けまとめ】意味の違い・使い分け一覧
一言でまとめる(比較表)
| 文法 | 意味 | 判断材料(目的の種類) | 動詞の種類 | ニュアンス | 例 |
|---|---|---|---|---|---|
| 〜ように | 結果・状態の目的 | コントロールできない結果/自然にそうなる状態 | 無意志動詞 が中心 | 客観的・状態の変化を目標にする | 風邪をひかないように、マスクをします。 |
| 〜ために | 意図・行動の目的 | 自分の意志で達成する行動・目標 | 意志動詞 が中心 | 明確な目的・意図を持つ行動 | 試験に合格するために、勉強します。 |
1. 「ように」= 結果・状態の目的
「ように」は、自分の力ではコントロールできない結果・状態を目的にするときに使います。
(※ このときの動詞は、無意志動詞が多い)
(例:上手になる、聞こえる、起きる、見える など)
行動そのものではなく、その結果の状態がコントロールできないときに使うのがポイント。
(1)文型
- 〈動詞辞書形〉ように
- 〈動詞ない形〉ように
- 〈可能動詞辞書形〉ように
注意点
- 無意志動詞と一緒に使われることが多い
- 意志動詞とは基本的に使わない(※例外あり)
(2)能力・状態の変化(無意志動詞)
能力や状態が変化するときに使う「ように」の例です。
- 日本語が上手になるように、毎日練習しています。
- 速く走れるように、毎日トレーニングしています。
- 料理ができるように、動画を見ています。
(3)結果としてそうなる目的(無意志動詞)
結果としてそうなる場面で使う「ように」の例です。
- 風邪をひかないように、マスクをします。
- 忘れないように、メモをします。
- 事故が起きないように、ゆっくり運転します。
- 子どもが起きないように、静かに話しました。
(4)習慣・ルールの目的(状態の結果)
習慣やルールとして自然に使われる「ように」の例です。
- みんなが読めるように、大きな字で書きました。
- お客さんが入りやすいように、ドアを開けておきます。
(5)例文
日常でよく使われる「ように」の例です。
・ 日本語が聞こえるように、テレビの音を大きくしました。
・ 迷わないように、地図を持っていきます。
・ けがをしないように、ヘルメットをかぶります。
・ 眠くならないように、コーヒーを飲みました。
2. 「ために」= 意図・行動の目的
「ために」は、自分の意志でできる行動・目標を目的にするときに使います。
(※ このときの動詞は、意志動詞が多い)
(例:買う、行く、助ける、作る、勉強する など)
(1)文型
- 〈動詞辞書形〉ために
- 〈名詞〉のために
注意点
- 意志動詞と一緒に使われることが多い
- 無意志動詞とは基本的に使わない(※不自然になる)
(2)意図を持った行動(意志動詞)
意図を持った行動を目的にするときの「ために」の例です。
- 日本語の試験に合格するために、勉強しています。
- 車を買うために、お金をためています。
- 健康になるために、運動しています。
(3)具体的な目標(意志動詞)
具体的な目標を表すときの「ために」
- 仕事を見つけるために、日本へ来ました。
- 大学に入るために、毎日勉強しています。
- 料理が上手になるために、料理教室に通っています。
(※「ように」も文法的には可能だが、“目標”が明確な場合は「ために」が自然)
(4)人の意志が関わる目的(意志動詞)
日常でよく使われる「ために」
- 友だちを助けるために、急いで行きました。
- 家族のために、毎日働いています。
- いい点を取るために、復習しています。
(5)例文
・ 日本語を教える仕事をするために、資格を取りました。
・ 海外旅行をするために、パスポートを作りました。
・ 早く終わらせるために、みんなで協力しました。
・ きれいな写真を撮るために、新しいカメラを買いました。
3. 「ように」と「ために」の違いがよくわかる例(場面別)
(1)勉強の場面
勉強の場面では、「ように」と「ために」の違いが特に分かりやすく表れます。
・ 日本語が上手になるように練習しています。
・ 日本語の試験に合格するために勉強しています。
(2)健康の場面
健康に関する場面でも、目的の種類によって使い分けが変わります。
・ 風邪をひかないようにマスクをします。
・ 健康になるために運動します。
(3)結果 vs 意図(より日常的な例)
日常のちょっとした行動でも、「結果」と「意図」で使い分けが変わります。
・ 焦げないように、弱火にしました。
・ 早く作るために、強火にしました。
・ 風が入らないように、ドアを閉めました。
・ 空気を入れ替えるために、ドアを開けました。
(4)行動の目的
行動の目的が違うと、選ぶ表現も変わります。
・ 忘れないようにメモをします。
・ 仕事を早く終わらせるためにメモを整理します。
(5)安全の場面
安全に関する場面でも、「ように」と「ために」の違いがはっきり出ます。
・ 事故が起きないように、ゆっくり運転します。
・ 早く着くために、タクシーに乗りました。
4. まとめ(表でスッキリ)
| 表現 | 主な意味 | 使う場面 | 例文 |
|---|---|---|---|
| ように | 結果・状態(無意志動詞) | ・能力の変化 ・結果としてそうなる ・習慣・ルール | 風邪をひかないように、マスクをします。 |
| ために | 意図・行動(意志動詞) | ・目標 ・意志のある行動 ・具体的な目的 | 試験に合格するために、勉強します。 |
5. よくある間違い
「ように」と「ために」はどちらも“目的”を表すため、どちらも使えるように見えてしまうのが、学習者がまちがえる原因です。
しかし、動詞の種類(意志/無意志)によって使い分けが必要です。
つまり、「ように/ために」は“目的の種類”だけでなく、
その文に使われている動詞が 「意志動詞」か「無意志動詞」か によって決まります。
●「ために」が正しいのに「ように」を使ってしまう例(意志動詞)
・ × 車を買うように、お金をためています。
○ 車を買うために、お金をためています。
(※ 買う=意志動詞)
・ × 日本へ行くように、パスポートを作りました。
○ 日本へ行くために、パスポートを作りました。
(※ 行く=意志動詞)
・ × 仕事を見つけるように、日本へ来ました。
○ 仕事を見つけるために、日本へ来ました。
(※ 見つける=意志動詞)
・ × 早く終わらせるように、みんなで協力しました。
○ 早く終わらせるために、みんなで協力しました。
(※ 終わらせる=意志動詞)
●「ように」が正しいのに「ために」を使ってしまう例(無意志動詞)
・ × 日本語が上手になるために、勉強します。
○ 日本語が上手になるように、勉強します。
(※ 上手になる=無意志動詞)
・ × 風邪をひかないために、うがいをします。
○ 風邪をひかないように、うがいをします。
(※ 風邪をひく=無意志動詞)
・ × 事故が起きないために、注意します。
○ 事故が起きないように、注意します。
(※ 起きる=無意志動詞)
6. 練習問題(理解チェック)
(1)正しい助詞を選んでください
① 日本語が上手になる(ように/ために)毎日練習しています。
② 試験に合格する(ように/ために)勉強しています。
③ 風邪をひかない(ように/ために)マスクをします。
④ 仕事を見つける(ように/ために)日本へ来ました。
⑤ 事故が起きない(ように/ために)ゆっくり運転します。
⑥ 忘れない(ように/ために)メモをしました。
(2)自然な日本語にしてください(書き換え)
① 日本語が上手になるために、毎日練習しています。
② 風邪をひかないために、マスクをします。
③ 事故が起きないために、ゆっくり運転します。
④ 眠くならないために、コーヒーを飲みました。
(3)ように/ために を使って文を作ってください
(例)目的:忘れない → 忘れないように、メモをします。
① 目的:健康になる →
② 目的:日本語が聞こえる →
③ 目的:早く終わらせる →
④ 目的:料理が上手になる →
⑤ 目的:雨が入らない →
7. 解答(理由つき)
(1)選択問題
① ように(上手になる=無意志動詞)
② ために(合格する=意志動詞)
③ ように(ひかない=結果)
④ ために(見つける=意志動詞)
⑤ ように(起きない=無意志動詞)
⑥ ように(忘れる=無意志動詞)
(2)書き換え
① 日本語が上手になるように、毎日練習しています。
② 風邪をひかないように、マスクをします。
③ 事故が起きないように、ゆっくり運転します。
④ 眠くならないように、コーヒーを飲みました。
(3)作文(例)
① 日本語が聞こえるように、テレビの音を大きくしました。
② 早く終わらせるために、みんなで協力しました。
③ 料理が上手になるために、料理教室に通っています。
④ 雨が入らないように、窓を閉めました。


コメント