Difference between “ageru”, “morau”, and “kureru” — giving and receiving explained through viewpoint and direction
あげる・もらう・くれる の違い|視点と方向でわかる授受表現を完全整理
日本語の「あげる・もらう・くれる」は、どれも「ものをあげる/もらう」という意味ですが、だれの視点で見るか(気持ちの方向)によって使い分けが変わります。
初級で学ぶ文型ですが、
- 視点
- 助詞(に・から・は・が)
- 「相手のためにしてくれる感じ」
が関係するため、学習者にとても混乱しやすいところです。
この記事では、3つの授受表現をやさしく整理して、どんなときにどれを使えばいいかが一目でわかるようにまとめました。
「は/が」の違いは別ページで解説しています。
→ が・を の違い|主体と対象を動詞で使い分ける助詞の基本
全体を図でつかむ(視点 × 方向)
授受表現は、だれ → だれ の方向で決まります。
- あげる:話し手 → 他者
- もらう:話し手が受け取る
- くれる:他者 → 話し手
話し手(私)を中心に考えると、3つの違いがとてもわかりやすくなります。
3つの授受表現をまとめて比較
| 表現 | 基本の意味 | 視点 | 助詞 | ニュアンス | 例文 |
|---|---|---|---|---|---|
| あげる | 与える | 話し手 → 他者 | に | 説明的(事実を述べる) | 私は友だちに本をあげた |
| もらう | 受け取る | 話し手が受け取る | に/から | 主観が強い | 私は友だちに本をもらった |
| くれる | 与えてくれる | 他者 → 話し手 | が | 私のためにしてくれる感じ | 友だちが私に本をくれた |
「は/が」の違いは別ページで解説しています。
→ は・が の違い|話題と新情報でわかる助詞の使い分け
1. あげる
文型
- 〈名詞(人)〉は〈名詞(人)〉に〈名詞(物)〉をあげる
- 〈名詞(人)〉は〈名詞(人)〉に〈動詞て形〉てあげる
例文
【名詞(物)】
- 私は友だちにプレゼントをあげた。
- 私は妹にお金をあげた。
- 私は後輩に本をあげた。
- 私は子どもにおもちゃをあげた。
【動作(て形)】
- 私は友だちに日本語を教えてあげる。
- 私は同僚にアドバイスしてあげた。
- 私は家族に料理を作ってあげた。
- 私は友だちに道を教えてあげた。
助詞のポイント
- あげるは「は」が多い
→ 行為の主体である「私」を話題にして話し始めることが多い。
注意
- × 先生に教えてあげる(目上には使わない)
2. もらう
文型
- 〈名詞(人)〉は〈名詞(人)〉に〈名詞(物)〉をもらう
- 〈名詞(人)〉は〈名詞(人)〉から〈名詞(物)〉をもらう
- 〈名詞(人)〉は〈名詞(人)〉に〈動詞て形〉て(を)もらう
例文
【名詞(物)】
- 私は友だちにプレゼントをもらった。
- 私は先生から辞書をもらった。
- 私は兄にお金をもらった。
- 私は会社からボーナスをもらった。
【動作(て形)】
- 私は友だちに宿題を手伝ってもらった。
- 私は先生に作文を直してもらった。
- 私は兄に駅まで送ってもらった。
- 私は友だちにアドバイスをしてもらった。
助詞のポイント
- もらうは「は/が」どちらも使える
→ 「私は〜」と話題にしたいときは「は」
→ “誰が”受け取ったかを強調したいときは「が」 - 主語は省略されることも多い
→ 会話では「(私は)友だちに本をもらった。」のように省略が自然。
に/から の違い(表)
| 相手 | に | から |
|---|---|---|
| 人 | ○(自然) | ○(自然) |
| 組織 | △(使えるが不自然なこともある) | ○(よく使う) |
| 場所 | ×(使えない) | ○(使える) |
- に:直接の相手
- から:人・組織・場所など幅広い
【例文】
- ○ 私は先生に辞書をもらった。(人 → に)
- ○ 私は会社からボーナスをもらった。(組織 → から)
- × 私は会社にボーナスをもらった。(不自然 → から が自然)
3. くれる
文型
- 〈名詞(人)〉が〈名詞(人:話し手)〉に〈名詞(物)〉をくれる
- 〈名詞(人)〉が〈名詞(人:話し手)〉に〈動詞て形〉てくれる
例文
【名詞(物)】
- 友だちが私にプレゼントをくれた。
- 母が私に新しい服をくれた。
- 先生が私に辞書をくれた。
- 兄が私にお菓子をくれた。
【動作(て形)】
- 友だちが私に料理を作ってくれた。
- 先生が私に漢字を教えてくれた。
- 母が私に手紙を書いてくれた。
- 兄が私を駅まで送ってくれた。
助詞のポイント
- 「くれる」は、話し手(私)や、話し手の家族・身内(ウチの人)が受け取るときに使う。
→ 話し手から見てソトの人が受け取る場合は使えない。 - くれるは「が」が自然
→ “誰が私にしてくれたか” が文の中心になるから。
が/は の違い(表)
| 助詞 | 例文 | ニュアンス |
|---|---|---|
| が | 友だちが私にプレゼントをくれた | “誰が”してくれたかが中心 |
| は | 友だちは私にプレゼントをくれた | “友だち”がすでに話題に出ている |
誤用例
- × 私が兄にくれる。(兄は話し手ではない → くれるは使えない)
- × 私は友だちから宿題を手伝ってくれた。
- × 友だちに私がプレゼントをくれた。
視点の違いで文がどう変わるか
授受表現で大事なのは、
「くれる」と「もらう」は、同じ出来事を “どちらの立場から見るか” で文が変わる という点。
① 同じ出来事を視点で言い換えられる(くれる/もらう)
例:友だち → 私 にプレゼント
- 友だちが私にプレゼントをくれた(友だち → 私)
- 私は友だちにプレゼントをもらった(私 ← 友だち)
→ 出来事はひとつ。でも、見る立場が違うと文が変わる。
② あげるは出来事そのものが変わる
- 私 → 友だち にプレゼント(別の出来事)
→ あげるは視点の違いではなく、行為そのものが違う。
複合形(中級向け)
| 表現 | 方向 | 意味 |
|---|---|---|
| 〜てあげる | 私 → 相手 | 私が相手のためにする |
| 〜てくれる | 相手 → 私 | 相手が私のためにする |
| 〜てもらう | 私 ← 相手 | 私が相手にしてもらう |
まとめ
- あげる:話し手 → 他者(行為そのものが違う)
- もらう:話し手が受け取る(視点が受け取り側)
- くれる:他者 → 話し手(私のためにしてくれる感じ)
- くれる/もらうは同じ出来事を視点で言い換えられる
- あげるは別の出来事になる
【助詞の使い方】
- あげるは「は」が多い
- もらうは「は/が」どちらも使える(省略も多い)
- くれるは「が」が自然(「は」も使える)
練習問題(初級〜中級)
1. 正しい言葉(あげる・もらう・くれる)を入れてください。
- 私は友だちにプレゼントを____。
- 友だちが私にプレゼントを____。
- 私は先生に作文を直して____。
- 先生が私に作文を直して____。
- 私は兄にお金を____。
- 兄が私にお金を____。
2. に・から・が・は を入れてください。
- 私__友だち__本をもらった。
- 友だち__私__本をくれた。
- 私__先生__漢字を教えてもらった。
- 先生__私__漢字を教えてくれた。
- 私__会社__ボーナスをもらった。
3. 視点を変えて書きかえてください。
- 友だちが私にケーキをくれた。
→ 私は友だちにケーキを____。 - 私は母に部屋を掃除してもらった。
→ 母が私に部屋を掃除して____。
【答えと解説】
1. 正しい言葉を入れる
- あげた
- くれた
- もらった
- くれた
- もらった/あげた(どちらも可能)
- くれた
5番の解説(重要)
私は兄にお金を____。
- もらった
→ 兄 → 私 にお金をくれた(私が受け取った) - あげた
→ 私 → 兄 にお金をあげた(私が渡した)
どちらも文法的に正しいが、
意味がまったく違うため、文脈で判断する必要がある。
2. に・から・が・は を入れる
- は/に
- が/に
- は/に
- が/に
- は/から
【解説】
くれる:Aが私に
もらう:私はAに/Aから
3. 視点を変えて書きかえる
- もらった
- くれた
【解説】
くれる ⇄ もらう は視点の入れ替え
出来事は同じでも、見る立場が変わると文が変わる
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