「〜ようになる」は、能力・状態・習慣が変化して新しい状態になるときに使うN3文法です。意味、使い方、例文、てくる/ていくとの違い、授業での誤用例、練習問題まで日本語教師が丁寧に解説します。
「できるようになる」「行くようになる」など、学習者がよく使う表現で、N3では頻出です。
この記事でわかること
- 「〜ようになる」の3つの基本の意味
- 能力・状態・習慣の変化のイメージ
- 日常会話・ビジネスでの自然な例文
- 「〜てくる/〜ていく」との組み合わせ・違い
- よくある間違い(形容詞との混同など)
- 練習問題と解説
- 関連文法とのつながり
はじめに
「〜ようになる」は、変化の結果、新しい状態や習慣になることを表す文法です。特に「できるようになる」は、学習者が最もよく使う表現で、授業でもよくつかいます。
この記事では、意味・文型・使い方・例文・誤用例・練習問題まで、N3学習者が迷わず使えるように丁寧に解説します。
関連:
→ 【N3】「〜てくる」の意味・使い方(例文・会話・ビジネス)
→ 【N3】「〜ていく」の意味・使い方(例文・会話・ビジネス)
→ 【N3文法まとめ】意味・使い方・例文・比較・練習問題の総まとめ
1. この文法のポイント(ざっくり概要)
- 能力・状態・習慣の変化(結果・定着)を表す
- 「できるようになる(可能動詞)」はよく使う!
- 過去 → 現在の変化だけでなく、現在 → 未来の変化にも使える
- 「〜てくる/ていく」と組み合わせることで、変化のプロセスも表せる
- 日常会話・ビジネスを問わず非常に頻出
2. 基本の意味
「〜ようになる」には大きく3つの意味があります。接続する動詞の種類に注目しましょう。
① 能力の変化(できるようになる)
※可能動詞や「できる」に接続します。
- 日本語が話せるようになった。
- 漢字が読めるようになってきた。
- 泳げるようになった。
② 状態の変化(自分ではコントロールできない無意志的な変化)
※自動詞や状態動詞に接続します。
- スマホが自動でアップデートされるようになった。
- 日本語のニュースが少しわかるようになった。
- メガネをかければ、後ろの席でも映画が見えるようになる。
③ 習慣の変化
※意志動詞の辞書形・ない形に接続し、新しい習慣の定着を表します。
- 毎日運動するようになった。
- 早く起きるようになった。
- 野菜を食べるようになった。
3. 文型
〈動詞辞書形〉ようになる
〈動詞ない形〉ようになる
例:
- 話すようになる / 話さないようになる
- できるようになる / できないようになる
【超重要】形容詞には使えません!
「忙しい」「静かだ」などの形容詞(状態)が変わるときは、「〜くなる / 〜になる」を使います。「ようになる」は重ねません。
- × 忙しいようになる / 忙しくなるようになる → 〇 忙しくなる
- × 静かになるようになる → 〇 静かになる
4. 使い方(使える場面・使えない場面)
使える場面
- 能力が変わったとき(できない → できる)
- 自動的に状態が変わったとき(映らない → 映る)
- 継続的な習慣が変わったとき(やらない → やる)
使えない場面
- 形容詞の変化(× 寒くなるようになる → 〇 寒くなる)
- 一時的な変化(例:「今、雨が降ってきた」など、その瞬間だけの変化には使えません)
5. 例文(日常会話・ビジネス)
① 能力の変化
日常会話
- 練習したら、自転車に乗れるようになったよ!
- 最近、少しずつ漢字が読めるようになってきた。
ビジネス
- 新しい管理システムが使えるようになりました。
- 部下が自分で判断できるようになってきました。
- お客様のトラブル対応がスムーズにできるようになりました。
② 状態の変化
日常会話
- このボタンを押すと、画面が明るくなるようになります。
- アプリを更新したら、動画がスムーズに再生されるようになった。
ビジネス
- システムを導入したことで、売り上げが自動で集計されるようになりました。
- 業務が見直され、会議が短時間で終わるようになりました。
- セキュリティが強化され、迷惑メールが届かないようになりました。
③ 習慣の変化
日常会話
- 夫は健康のために、毎日運動するようになった。
- 最近は夜ふかしをやめて、早く起きるようになった。
- 体調を崩してから、意識して野菜を食べるようになった。
ビジネス
- 進捗の報告をこまめにするようになりました。
- タスク漏れを防ぐため、メールをすぐに返すようになりました。
- 効率化のため、会議の準備を前日にするようになりました。
6. 「〜てくる/〜ていく」との違い・組み合わせ
「〜ようになる」は、変化した「結果(今の状態)」を表します。 しかし、「〜ようになってきた/〜ようになっていく」の形で使うと、だんだん変わっていく「途中(プロセス)」を表現できます。
| 表現 | イメージ | 意味・ニュアンス |
| 〜ようになった | 変化の結果(定着) | すでに変化が終わって、今はその状態である |
| 〜ようになってきた | 過去 → 現在へのプロセス | だんだんその状態に近づいている(今も変化中) |
| 〜ようになっていく | 現在 → 未来へのプロセス | これから未来に向けて、だんだんその状態に変わっていく |
例文での比較
- 日本語が話せるようになった(もうペラペラ話せる状態が完成している)
- 日本語が話せるようになってきた(最近、だんだん話せる実感が湧いてきている)
- 日本語が話せるようになっていく(これから勉強を続ければ、未来に向かって話せるようになっていくだろう)
7. 日本語教師の視点
7-1. 授業でよくある間違い
- × 日本語が話せるようになっていきました。→ 過去から現在までの変化のプロセスなら「話せるようになってきました」、変化の完了なら「話せるようになりました」が自然です。
- × 毎日運動していくようになった。→ 単に習慣が変わったことを言いたいなら「運動するようになった」が正しいです。
- × 最近、仕事が忙しくなるようになった。→ 形容詞の変化は「〜くなる」だけで表すので、「忙しくなった」が正解です。
7-2. 学習者の母語による特徴
- 中国語話者: 結果の状態(完成)と変化の過程(進行)を混同しやすく、「〜ようになった」と「〜ようになってきた」の使い分けに迷うことが多いです。
- 英語話者: “become”(〜になる)の直訳に引っ張られ、「忙しくなるようになる」といった形容詞の二重表現の誤用が非常に多く見られます。
- ベトナム語話者: 能力の変化(可能)と習慣の変化の区別が曖昧になりやすく、動詞の形(可能形にするのか辞書形にするのか)の選択でミスが起きやすいです。
7-3. 授業での説明のコツ(板書)
- 能力の変化: 〈可能動詞〉ようになる(例:話せるようになる)
- 状態の変化: 〈自動詞・状態動詞〉ようになる(例:わかるようになる)
- 習慣の変化: 〈意志動詞〉ようになる(例:運動するようになる)
- 注意: 形容詞(忙しい・静か)には使えない!「忙しくなる」でOK。
- てくる/ていくとの違い: 「結果(定着)」か「プロセス(途中)」かの図を書いて説明する。
7-4. 教室でよく使うリアルな例文
- 学生が自分で宿題をするようになった。(習慣)
- 授業の準備を早くするようになった。(習慣)
- 日本語で進んで質問できるようになってきた。(能力・プロセス)
- 教室のWi-Fiがよく繋がるようになった。(状態)
8. よくある間違い(まとめ)
- × 日本語が話せるようになっていきました。→ 〇 話せるようになりました / 話せるようになってきました
- × 毎日運動していくようになった。→ 〇 毎日運動するようになった
- × 暗くなると寒くなるようになった。→ 〇 暗くなると寒くなる(形容詞は「なる」だけ)
9. よくある質問
Q1. 「〜ようになる」は未来のことにも使える?
→ はい。「これからもっと日本語が話せるようになる」や「来月からこのシステムを使うようになる」など、未来の変化や新しい習慣に対しても自然に使えます。
Q2. 「〜ようになる」と「〜てくる/〜ていく」の違いは?
→ 「〜ようになる」は変化したあとの『結果・状態』を表します。そこに「てくる(過去から今まで)」や「ていく(今から未来へ)」を合わせることで、変化している途中の『プロセス』を表すことができます。
10. 練習問題
( )に入れるのに最もよいものを一つ選んでください。
① 毎日練習したので、100メートル泳げる( )。
- なった
- ようになった
- ことになった
- てきた
② 最近は仕事が( )、毎日残業しています。
- 忙しいようになった
- 忙しくなるようになった
- 忙しくなった
- 忙しいことになった
③ 医者に言われたので、来月から毎日野菜を食べる( )。
- ようになった
- くなった
- ことになった
- てきた
④ 3ヶ月勉強して、最近やっとニュースが( )。
- わかるようになった
- わかるようになってきた
- わかるようになっていく
- わかっていく
11. 解答・解説
① 正解:2(ようになった)
「泳げる(可能動詞)」という能力の変化を表します。「泳げるようになった」で、今は泳ぐ能力がある状態を表します。
② 正解:3(忙しくなった)
「忙しい(い形容詞)」の変化には「〜ようになる」は使えません。シンプルに形容詞+なるの形(忙しくなった)にするのが正しい日本語です。学習者が一番間違えやすいポイントです!
③ 正解:3(ことになった)
「来月から」という未来の予定で、しかも「医者に言われた(自分以外の周りの状況で決まった)」ことなので、N3文法の「〜ことになる(決定・予定)」が正解です。「〜ようになる」は、すでに定着した習慣や能力の変化に使います。
④ 正解:2(わかるようになってきた)
「最近やっと」という言葉があることから、過去から現在にかけてだんだん変化しているプロセスの途中であることがわかります。そのため、「〜ようになってきた」を選ぶのが最も自然です。
12. 今日のまとめ
- 「〜ようになる」は能力・状態・習慣の変化を表す
- 変化が終わった「結果の状態」に注目する文法
- 「忙しくなる」などの形容詞の変化には使えない(超重要!)
- 「〜てくる/〜ていく」と組み合わせると、変化のプロセスを表現できる
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